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ルイズ 肩書き 種族 閃き コマンダー行動 陣形 得意術 盗み適性 魔界人 妖怪・悪魔 蒼龍 蒼龍 - 蒼龍 5 LP 腕力 器用さ 素早さ 体力 魔力 意志力 魅力 8 13 17 18 14 19 18 20 HP 斬LV 打LV 突LV 射LV 体術LV 地術LV 天術LV 増幅LV 80+ 0 0 0 1+ 0 蒼龍7+ 0 0 武器1 武器2 武器3 武器4 防具1 防具2 防具3 防具4 - - 精霊石 高級傷薬 毛皮のベスト ヘッドバンド シューズ - 技1 技2 技3 技4 術1 術2 術3 術4 スペルカード - - - - ニードルショット ダンシングリーフ - - ヒールウィンド HP成長 SP成長 WP成長 斬成長 打成長 突成長 射成長 体術成長 1 0 3 1 0 0 1 0 蒼龍成長 朱鳥成長 白虎成長 玄武成長 太陽成長 月成長 増幅成長 消費軽減 3 1 2 2 2 2 0 - 旅行中の魔界人。 スペカがヒールウィンドなものの、術師として控えめな性能。
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前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝 第一章~旅立ち~ その7 光の剣?デルフリンガー 『ゼロのルイズの使い魔が、ギーシュを決闘で負かした』 このあまりに刺激的なニュースに学院はどっと沸いた。 メイジを下す実力を持つ子供が現れた。 いや、ギーシュの慢心によるものだ。 様々な噂が錯綜することとなった夜、ムサシは厨房にいた。 「おっさん!完璧だぜ!これこそおにぎりだ!」 「おう!たんと食ってくれ!能なし貴族の鼻っ柱、よくへし折ってくれたな!」 ムサシの髪を大きな手で撫でる料理長マルトーは、非常に上機嫌だった。 おかげで厨房の雰囲気はすっかり宴会場になっている。 彼の好物『オニギリ』を存分に振舞いもてなし、ムサシのお腹は幸せではちきれそうだ。 「もう、マルトーさんったら……でも本当によかった、ムサシくん……」 「どうしてだい?」 「心配していたの、ムサシくんが負けちゃうんじゃないかって」 通常、ハルケギニアで貴族に平民が逆らうことは自殺行為だと思っていた。 シエスタもそんな常識を持って今まで生きていたのだが、目の前の小さな少年がそれをひっくり返したのだ。 「本当に勝っちゃうなんて。ムサシくん、まるで『サムライ』みたい」 「へへッ、おいらがあんなヘナチョコに負けるわけねえさ!……え?『侍』?」 「あ、私の故郷では、とってもすごい剣の使い手をそう呼ぶらしいの」 聞き返したのは、聞きなれぬ言葉だからでは無い。 ムサシは知っている。 刀を振るう戦士、すなわち自分のことをそうとも呼ぶと。 シエスタがこの地に存在しない戦士の呼称を知っている理由を聞こうとしたその刹那。 マルトーが二人の間に顔を突き出した。 「なんともシャレた異名だなシエスタ!」 「ひゃ、マルトーさん、酔ってるんですか!?まだ夕食の後片付けは残って……」 「よーし!シエスタの故郷に従って、ムサシを『我等が侍』と呼ぼうじゃないか!」 『あっぱれ、みごと、我等が侍!』 「うわぁっ!おいおい勘弁してくれよ!」 厨房がコック一同のどんちゃん騒ぎの場と化して、シエスタは苦笑する。 ムサシもまんざらではなさそうで、やんややんやの大騒ぎだ。 そろそろ食堂の方にも厨房の騒ぎが聞きつけられようか、といったその時。 恐怖の大王のように、それは降臨した。 「誰が恐怖の大王よっ!ムサシ!ムサシはいるの!?」 「ルイズ!?」 厨房の喧騒が、水を打ったように静まる。 ムサシはご主人様のところへ嫌々ながら進み出た。 「なんだよ、ここで飯をもらうことは言っておいたゼ?」 「だからってご主人様よりゆっくり夕食を食べてていいわけ無いでしょ!ほら、帰る!」 「うわっ、引っ張るなって……シエスター、おっさーん。ごちそうさま!」 大騒ぎはさらに騒がしいルイズの登場で一気に終焉を迎えた。 シエスタもマルトーも、ぽかんと立ち尽くしてしまう。 「行っちゃいましたね」 「全く落ち着かない主人みたいだな。同情するぜ『我等が侍』」 どこかからかいのように微笑みながら、ムサシに手を振る。 彼の次の来訪を楽しみにする、厨房の一同であった。 * * その後、オールド・オスマンからのお咎めも無く、ルイズは無い胸をほっと撫で下ろした。 ギーシュも後日、ムサシといがみ合うこともなく話しているのを見かけたし、特に遺恨はなさそうである。 ルイズは使い魔の順応力が優れていることに感心するやら呆れるやらであった。 当のムサシはというと、しばし穏やかな日々を過ごし、満足しているようだ。 朝、ルイズよりも早く起きて剣の稽古。 他の生徒たちの使い魔と駆けまわり足腰の鍛錬。 腹が減れば厨房でおにぎりを貰い疲れたら青空の下でごろりと寝る。 ヤクイニックで過ごした日々と、そう変わり映えはしていない。 ただひとつ、不満な点があるが。 「タイクツだ……どっかに強いヤツでもいねえかな~」 ギーシュとの決闘騒ぎ以来、彼に決闘と呼べる出来事は舞い込むことがなかった。 三度の飯より決闘が好きのムサシにとっては、過ぎたる平穏は不謹慎ではあるが遠慮したいところなのだ。 帝国の刺客、ビンチョタイトの異常による怪生物、そしてクレスト・ガーディアン。 以前の場合は未知の強敵に事欠かない、飽くなき戦いが待ち受ける世界。 しかし今は彼を取り巻く状況が、最初から違っている。 彼はルイズの下僕であり、世界を救う英雄では無かったのだ。 下僕の立場で戦うことなどそうそうなく、ムサシは磨いた剣を持て余す日々を送らざるを得ないのだった。 * * そして数日後、虚無の曜日がやって来る。 いつもの時間に起こしたねぼけ眼のルイズの話によると授業が休みらしい。 着替えに入ったご主人様を置いて、寝袋をしまったムサシは寮の外へと繰り出した。 ちらほらと、他の生徒や使い魔の姿も見える。 ムサシは他人の邪魔にならないよう、人気の少ないところで黙々と鍛錬を始めた。 しばしそうしていた所、最近仲良くしている使い魔がのそのそ、と寄ってくるのを感じる。 「きゅいっ」 「やあ、元気そうだな!」 誰のかは定かでは無いが、恐らく使い魔であろう竜が頭を摺り寄せてきた。 一昨日、昼食の特製『マルトーおにぎり』(例によって残り物の高級鶏肉入り)を半分こした仲だ。 今日はまだ朝食も貰っていないが、それでもいいらしくムサシの鍛錬を眺めている。 ちゃっかりしたことに、こうして近くにいればおこぼれを貰えるという算段らしい。 だがムサシのほうも、別にそれは構わないようだ。 ヤクイニックでもここまで身体の大きい生物は目にしたことがなく、ムサシは興味があった。 この竜だけでなく他の愛らしい使い魔を見ると、ジャンや村の人々がレノを可愛がった事も多少は理解できると言うものだ。 「ムサシくん、おはよう」 「おう、おはよう!どうしたんだいシエスタ」 続く来訪者はなにやら包みを抱えたシエスタだ。 決闘をした夜以降、何かと気を使ってくれている。 腹が空いていないか、着ている物は綻びていないかなどだ。 故郷の弟を思う気持ちや感謝の念がそうさせているようだったが、その度ルイズは面白くないらしい。 シエスタも気を遣ってか、ムサシが一人で居るときに話しかけてくれるようになった。 貴族相手の口調をしなくてもいいせいか、シエスタ本人にもそれは安らぎになっているようである。 この地に珍しい黒髪の二人は、仲睦まじく会話をしていた。 「マルトーさんが持たせてくれたの、朝ごはんに食べてね」 「わざわざ届けてくれたのか?何から何までありがとな」 「ううん、気にしないでいいの。それに私ムサシくんと話していると、なんだかホッとするっていうか……」 「きゅいっ、きゅい!」 「きゃッ!?」 シエスタの包みの匂いに我慢ができなくなったか、青い竜が大きな頭を摺り寄せてきた。 少し驚いたシエスタだが、よしよしと頭を撫でてなだめてやると竜は嬉しそうに鳴き返す。 「わりい、こいつもマルトーさんの飯が好きみたいなんだ」 「うふふ、食いしん坊なのね。ムサシくんと仲良くね」 「ありがとうシエスタ、じゃあな!仕事がんばってくれ」 「ムサシくんもね!」 学生が休みとしても、使用人の彼女にとって休日では無い。 仕事にもどったシエスタにムサシは手を振り、今日も美味しそうな食事を竜と仲良くいただいた。 「うん、初めに食ったパンよりもずっとうめえ。ジャムの店を思いだすな」 「きゅいぃ~っ」 魚のオイル漬けを野菜と一緒に挟んだサンドイッチは、パン嫌いなムサシをも唸らせた。 最初こそ苦手としていたパンだが、ヤクイニックでの常食のひとつとしての習慣が徐々に味覚を変えたらしい。 今ではおにぎりほどではないにせよ、パンも悪くない。 隣で美味しそうに頬張る竜を見ていると、よりそう思える。 「ふうー、食った食った!さて、今日は遠出しようかな…?」 「きゅいっ?」 実はムサシ、一昨日、昨日と学院の塀を乗り越え脱走している。 この塀際で眠っていた竜の身体を足場にし、ゲイシャベルトの力を発揮したのだ。 自分なりに元の世界への回帰を図るという意味もあったのだが、何よりじっとしていられなかった。 彼にこの学院は、少々狭いのかもしれない。 それに、彼は昨日見つけたのだ。 (また"あんなもん"が見つからないとも限らないしな) 深い森の中に、手がかりを。 「悪いけど、また今回も頼むゼ」 「きゅいきゅいっ」 「何を頼むのよ」 ぎょっとしたムサシが振り向くと、身繕いも綺麗に整えたルイズが立っていた。 ムサシが腕の時計を見ると、もう学生達の朝食の時間は終わっている。 黙って外出しようとしたことが後ろめたいこともあり、後ずさりして身構えた。 対するルイズは疑問を抱きながらも、珍しくムサシを見て微笑を浮かべている。 「さ、準備して」 「え?」 「剣を買いに行くわよ」 「変なところ触らないでよね」 「そんなこと言ったって、他につかまる所もねえぜ」 「誰の身体につかまるとこが無いって!?」 頭頂に肘を決めながらルイズが言う。 ムサシの身体に合う馬など流石に無く、二人で一頭の馬を使わざるを得なかった。 やいのやいの言いながらの珍道中は2,3時間続き、ようやく目的地の街にたどり着くことができた。 「随分人がいっぱい居るんだなあ」 「トリステインで一番大きな都だもの、当たり前よ」 ムサシが知る城下というのは、ヤクイニック城下村だけだった。 目の前に広がる光景は、人々が狭い道を所狭しと行き来しているもの。 穏やかな農村であった城下村とは、似ても似つかない。 これも文化の違いか、とムサシはどこか新鮮さを楽しみながらルイズの後に続いた。 「そんなにきょろきょろしてると、田舎者扱いされるじゃない。ほらこっちよ」 「ああ。にしてもなんで、剣を買ってくれるなんて言い出したんだ?」 ムサシは当然の疑問をぶつけた。 使い魔への要求はあっても、ルイズからの施しなど食事がいいところだとばかり思っていた。 ルイズは硬直してギギギ、と音を立てそうな仕草でこっちを向いた。 「そ、それはあれよ…この間あんた言ってたじゃない」 「?」 「ほら!"ニトウリュウ"って……あんた、剣二本持ってたほうが強いんでしょ?」 ルイズがごにょごにょとムサシの方を見ないでつぶやく。 本人としては主が使い魔にご褒美をやっているつもり、なのだ。 だが対象がムサシという異性であるせいなのか─ (ルイズもおいらと一緒にもっと、強くなろうぜ!) (うっせえ!!決闘だ!!ルイズに謝れ!!) 「つ、強いほうが役に立つじゃない……それだけだからね!!」 「なんだよ?変なルイズだな」 「うるさい!」 それとも、自分にも解らないうちに他の意図ができたのか。 ルイズはやけに気恥ずかしく感じてしまっていた。 * * うらぶれた路地の武器屋は、サビた匂いがぷんと鼻を刺激する。 ルイズは顔を軽くしかめたものの、ムサシにとっては慣れた臭いだった。 客に気づいた店主が佇まいをのっそりと直し、二人を値踏みするような目で見つめた。 「いらっしゃってくだすってなんですがねえ、うちは貴族様に目をつけられるようなことなんかしてませんぜ。 至極真っ当な商売をしてまさあ」 「客よ」 ルイズが腕を組んでふんぞり返るのを見て、ムサシも倣って腕を組む。 店主はその言葉に驚いて目を見開いた。 「こりゃおったまげた。貴族が剣をお求めですかい?」 「だって、使うのは私じゃないもの」 「へぇ、ではどちらさんで」 「おいらだぜ!」 カウンターから乗り出した店主が、ムサシの姿を認める。 とたんに豪快に笑い出す。 突然の態度の豹変に、ルイズとムサシはむっとした。 慌てて畏まった店主が身を縮ませ弁明する。 「し、失礼貴族様。ですがねえ、こんなチビ助……ああいやお子様に振るえる剣が、 この店にありますかねえ」 「なんとかしてよ、ここ武器屋でしょ?」 「ナメてもらっちゃ困るぜ、おっさん!」 ムサシが不服そうに腰の名刀を鞘ごと抜き出し、掲げる。 鯉口を切った瞬間閃く真・雷光丸の黄金の剣光を見るやいなや、途端に店主の目が光った。 「……おぼっちゃん!その剣、言い値で買わせていただきやしょう!!」 「売らねえよ!こいつくらい良いモン、置いてないかい?」 目がらんらんと輝く店主がずずいと迫ってきて、ルイズとムサシは後ずさった。 途端にしょぼくれて老けこんだ店主がしぶしぶ店の奥に引込み、いくつか剣を用意してきた。 最初に差し出したのは、長さはここの世界で言うと一メイルほどの細剣。 細やかな装飾のレイピアだった。 「えー、確かに最近従者に剣を持たせる貴族もおりましてね」 「やる気出してくれない?客よ私ら」 「こいつぁ失礼。それというのも、トリステインで話題の盗賊というのが居るかららしいんですわ」 「盗賊?」 店主の話では、なんでもその盗賊は『土くれ』のフーケと言う通り名らしい。 貴族のお宝を片っ端から盗みまくる賊で、皆が皆恐れを抱いている。 故に、自衛のために従者に剣を持たせるのが流行しているそうだ。 ムサシは"盗賊"というフレーズに目を輝かせるがルイズは気づいていない。 剣を眺めながらふうん、とその話に相槌を打ちつつ首を捻っている。 「若奥様、ご不満でも?」 「剣のことはよく解らないけれども……細くない?これ」 「ああ、おいらにゃ細すぎるぜ」 「お言葉ですがねえ、この子の身体にゃ正直これくらいしか合いやせんぜ?」 店主はそう言うものの、ムサシの力を垣間見ていたルイズは難色を示す。 すると、剣を振るう本人がすっ、と進み出た。 「まあ見てなっておっさん」 「うん?」 それは 剣と言うにはあまりにも大きすぎた 大きく ぶ厚く 重く そして 大雑把すぎた それは 正に鉄塊だった ─とでも評されそうな片刃の剣が、店の隅に置かれていた。 よく見れば奇妙な二つの穴が開いている、どこかで金髪のトンガリ頭が振るっていそうなその巨大な剣。 ムサシは"片手"で持ち上げた。 「は!?」 「こいつはちょっと長えけど、このくらいの段平でいい剣はねえか?」 自分の使い魔がゴーレムを細身の刀で両断するほどのパワフルな子供なことは知っていたルイズ。 だが、改めてその怪力を見て驚くやら呆れるやら。 初見の店主はと言うと、くわえていたパイプをポロッと落としてしまう。 ムサシがその鉄塊をぶんっ、と一振りして元に戻したのを見て、店主がバタバタと店の奥へと引っ込んだ。 「あんた…持てるのはいいけど、本当にあんな剣使えるの?」 「おいらはもともと、この鞘に入るくらいの剣を使ってたからな」 ムサシが背中につけた朱塗りの鞘を見せる。 本当にそれに合う剣など存在するのだろうか、と言わんばかりの大きさであった。 「無茶苦茶ねあんた……」 「お待たせしやした!!こちら、こちらはどうでございましょう!一番の業物ですぜ」 見事に飾り付けられた、装飾の無いところを探すほうが難しそうな剣が出てきた。 長さは先程の剣の倍ほどもあり、かなりの幅広の大剣である。 店主が言うには、魔法も込められており鉄をも切り裂く逸品だとか。 「ムサシ、これすごいじゃない。綺麗よ」 「えー……ルイズ、おいらこんなゴテゴテした剣は好みじゃないぜ」 「何言ってるの!その刀?だっけ、それだって金ピカじゃないのよ。もう一本も当然こういうのでしょ」 ともかく手にとってみなさい、と店主に鞘ごと剣を渡すように言いつける。 しぶしぶその剣を取ったムサシ。 ルイズは店主に値段を聞いていたが、不意に大声を上げた。 「エキュー金貨で2000!?庭付きの屋敷が買える値段じゃないの!」 「そう言われましても言わずとしれたシュペー卿の作品でさぁ、このくらいが妥当ですぜ。 なにより剣は命を守るモンでしょう、値が張るのも仕方のないこってす」 「本当なのかしらねえ……」 ルイズはやはり買い物慣れしていないようで、ぼったくりに遭っているのでは?とムサシは心配になってきた。 鑑定屋のボリーじいさんでもここにいればその目利きが大いに役立っただろうに、という思いに駆られる。 すると、はたと気づいたように額の眼鏡を掛けて、まじまじとその手の剣を眺めた。 「?あんた、目が悪かったの?」 「いや、こいつは見たモノを鑑定できる伝説のゴーグルなんだぜ……えーっと、どれどれ。 『ゲルマニアのシュペー卿が鍛えた剣。だが実戦で使うには値しないおかざりの剣で、 鋼鉄を斬るどころか岩にすら負けてしまう 200エキュー』 ……なんだおっさん、こりゃとんだなまくらだぜ!?値段も一桁違うじゃねえか!」 「な、ななな」 「はぁ!?ちょっと、どういう事よ!」 「すすす、すいませんでしたぁーっ!ちょ、ちょっとした手違いみたいで……ええと……」 「ぶわーっはっはは!!とんだチビどもを相手にしちまったな!!」 店主が詰め寄る二人にあたふたと言い訳を連々並べていると、途端に笑い声が響いた。 店に自分たち以外の客がいないはずなのに、とムサシとルイズは驚いて辺りを見回す。 「デル公、今取り込み中だ。お客様にそんな口を利くんじゃねえやい」 「そんな冷やかしのチビ助二人がお客様たぁ、お笑いだ」 「ちょっと!さっきから誰よ、失礼な!」 「こっから声が聞こえたぜ?」 背の低いムサシが、店の一角の棚に手をかけて顔を出す。 するとそこには剣が置かれている。 錆が浮き古びた雰囲気の漂う剣の鞘が、カタカタと鳴りそこから音が漏れているではないか。 「しゃべる剣?驚いたな、どこにでもあるもんだ」 「これって……インテリジェンスソードじゃない?」 「ええまあ……意思を持つ魔剣なんて言われてますが、とんだ厄介モノでさぁ! 客に悪態ついて喧嘩売るわ、脅かして追い返すわでこいつのせいで商売あがったりで…… デル公、今度という今度はてめえをドロドロに溶かしちまうぞ!」 「へっ!やってみやがれ、こんなしょぼくれた店にゃあもう飽き飽きしてたんだ!願ってもねえ!」 店主がずかずかと歩み寄り、お喋りな剣を取り上げようとする。 そこにムサシが口を挟んだ。 「待ってくれ、溶かす前に見せてほしいぜ」 「ムサシ、あんたこんな剣がいいの?」 あからさまな難色をルイズは示す。 どう贔屓目に見積もっても、こんな錆まみれの剣は趣味に合わなかった。 こんな見窄らしいものしか買い与えられないのか、とキュルケあたりが指差し笑うに違いない。 しかし、当のムサシは興味深げだ。 「おいらが前使ってた剣も、しゃべったからなあ」 「えっ……あんた、どんな剣使ってたのよ…」 ムサシが以前愛用していた剣、光の剣レイガンド。 その剣もまた、冒険の最中ムサシに語りかけたことがあった。 と、言っても正確に言えばレイガンドでは無く、そこに封じられた魔人が語りかけたというのが正しい。 ともあれムサシにとってこんな異郷の地でもまた、しゃべる剣に出会えたという奇妙な縁に心踊っていた。 兵法者にとって、物珍しい武器というのは否が応でも手にしたくなるものである。 ムサシはデル公と呼ばれた剣を左手に握り、鞘から抜いた。 柄から切っ先までをじっくりと眺めて、正眼の構えを取ってみる。 「へ、ナリはチビだが案外サマに……お?」 「どうかしたのか?」 「こりゃおでれーた、ガキと思って見損なってた。お前ェさん『使い手』だったのか?」 「なんだい、その『使い手』ってのは」 ムサシは再び『エキシャゴーグル』をかけ直しながら尋ねた。 伝説の武具の能力でこの剣を鑑定する。 銘は『デルフリンガー』というらしい。 なるほどそれでデル公か、とムサシは納得する。 と、握る左手が熱を持っている感覚がして目を向けた。 見ると、朱の篭手の下から光が溢れている。 外してみると、使い魔の契約のルーンが輝いていた。 ムサシは、ルイズと二人で目を見合わせる。 「えーっと『使い手』ってのはアレだ、ほら。あーっと…えー、すまねえ!はっきりとは覚えてねえ」 「なんだよそれ?」 「はっきりしない剣ねえ……ねえ、サビてるし胡散臭いわよこいつ。相手にしないでおきましょ」 「人を見た目で判断するたぁ、まだまだ青いなピンク女。ピンクの割にな」 「剣じゃないあんた」 危うく刀剣にツッコミを入れそうになったルイズが手を引っ込める。 ムサシは黙々とデルフリンガーを鑑定していたが……やがて、驚いたようにゴーグルを外した。 「ルイズ、おいらこいつに決めたぜ」 「えー!?嫌よ私、こんなボロっちい剣」 「おいおい使うのはこっちの小僧だろうが!おい親父!俺の値を言ってみろ!特価だろ!?」 抜身のデルフリンガーがムサシの手でバタバタと喚く。 先程までのからの態度の豹変ぶりにルイズはぎょっとした。 「鞘込みで100って所で結構でさ。この店で一番のがらくたで良けりゃそれくらいでお譲りしましょ」 「おいちょっと安すぎやしねえか!?しかもがらくたたぁ言ってくれるじゃねえか、表出ろ親父ぃ!!」 「お前、買われたいのかそうじゃねえのかハッキリしろよ……」 「言っとくけど100以上なら買わないわよ……」 半ば呆れてきた二人だが、ルイズの財布を開いて覗き込んでみる。 100しかなかった。 な、とムサシが片目を瞑る。 ルイズは口を尖らせながらも、しぶしぶ勘定を済ませるのであった。 「うるさくなったら、この鞘に入れりゃ黙りますぜ。できるかい坊主」 「おう!朝飯前だぜ」 ムサシの背には新たに三本目の鞘が括られる。 彼の身の丈ほどの大剣と呼べるサイズだというのに、器用にムサシは背に剣を収めた。 店主はムサシの頭を大きな手で撫でて笑いかける。 「そいつは愛想が悪ぃなまくらだけど、面倒みてやってくんな」 「ありがとな、おっさん!いい買いモンしたぜ」 「あばよ!俺っちのいない余生は辛気臭ぇだろうが、楽しみやがれ」 なんだかんだで、すっかり人が良くなった店主に手を振って二人と一振りは店を後にした。 店を出て、大通りを逆行して外へと向かう。 しかし、ルイズの方はと言うと未だ納得していないのか憮然とした様子であった。 「ホントにそんなので良かったのかしら……こんなヘンテコな剣じゃ笑われるわよ?」 「おい娘っ子、言うに事欠いてヘンテコはねえだろぉが」 「いや、ルイズ。こいつはとんでもない掘り出しモンだったぜ?」 「うそぉ?だってこんな骨董品以下の剣……」 ルイズは訝しげに背中で揺れる剣を眺めた。 どんな物好きだってゴミとして捨てそうなその外見を見て、改めてため息が洩れる。 「娘ッ子ぉ、そりゃねーぜ。そりゃ俺、いろいろ忘れてるけどもさ」 「いいよ、帰ったら説明するからさ。これからよろしくな、デルフリンガー」 「おう、俺っちのことはデルフでいいぜ。相棒、名前を教えてくれや」 「おいらは、ムサシだ」 人ごみを抜け、都の外に繋いである馬に乗り込む。 日はまだ正午、といったところか。 「ちょっと!何で私の前にあんたが乗るのよ」 「後ろにしがみつかれるより、こっちのがルイズのが楽だと思ってさ」 「い、いいからあんたは後ろ!しがみつかれて嫌がるほど心狭くないわ!」 「ケケケ、言うねえ娘ッ子。本心は違うんじゃねぇか」 帰路は行きより、少し騒がしくなりそうであった。 前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝
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部屋で身体を拭き着替えを済ませたルイズは、ベッドにうつ伏せになって考えていました。 (おとーさん・・・私を慰めようとしてくれてたのかな・・・) ルイズは貴族として厳しく育てられてきました。その事に恨みも憎しみもありません。なぜなら、貴族として生まれた自分には当然の事だと考えていたからです。 そんなルイズには、あんなに優しく頭を撫でられた事は遠い遠い記憶の中でしかありませんでした。 だからこそ、おとーさんの行動に吃驚しましたし。子ども扱いだと反発したのでした。 (17歳の娘にあの慰め方は無いよね・・・・) そんな事を考えていると激しくドアをノックする音がしました。 「ヴァリエール様、メイドのシエスタです。大変です!!ヴァリエール様の使い魔さんが・・・使い魔さんが・・・」 扉の向こうで涙声で訴えるメイドの声に吃驚したルイズはすぐさま部屋へ引き入れるのでした。 「落ち着いて何があったか話なさい!」 シエスタは涙ながらにこう言いました。 「ギーシュ様とヴァリエール様の使い魔さんが決闘することに・・・」 「何ですって!!!!」 シエスタから事の顛末を聞き、ルイズは決闘を止める為にシエスタと一緒に広場へ走りました。 「大体ギーシュの奴モンモランシーとケティに二股かけて、それがばれたからって何で香水拾ったおとーさんに八つ当たりしてるのよ!!」 ルイズが走りながら文句を言っているとシエスタがこういいました 「使い魔さんは、ギーシュ様から最初は何を言われても何も反論しませんでした。ですが、ヴァリエール様事を言われた途端急に・・・」 「えっ?」 ルイズはそれを聞いて急に立ち止まりシエスタの顔を驚いた様子で見ています。 そして、ルイズはまた走り出しました。 「とにかく止めなきゃ・・・・」 広場に着くとすでにギーシュとおとーさんそして生徒たちの野次馬が揃っていました。 「なんでこんなに集まってるのよ!!」 ルイズは、野次馬を掻き分けなんとかおとーさんの横に出ることが出来ました。 「おとーさん!!決闘なんてやめなさいよ!!」 ルイズの言葉におとーさんは黙って首を振ります。 「ギーシュはバカで女ったらしで二股するような奴だけど、結構強いのよ」 ルイズの台詞を聞いてギーシュは顔を引きつらせながら髪をかきあげこう言いました。 「ミス・ヴァリエール、随分な言い草だね」 「間違ってないでしょ?? それに、決闘は禁止されているはずよ」 ギーシュは青筋を立てながらこう言いました。 「それは貴族同士の話だろう?貴族と使い魔なら問題ないさ。それにもう止められないよ!!」 ルイズは止めることが出来ないと諦めました。 「おとーさん、決闘はどちらかが降参するまでだから。後、貴族は杖を落としたら負けだからね」 そして、ルイズはおとーさんにこう声をかけて生徒たちの方へ向かいました。 「おとーさん、がんばって・・・」 ギーシュは錬金で一体のワルキューレを作り出し 「僕はメイジだ!!だから魔法で戦う。そして、僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュ。 従って、僕が作り出したワルキューレが君のお相手をするよ」 そして、ギーシュは決闘の開始を宣言しました。 ワルキューレは駆け出すとおとーさんに殴りかかります。しかし、ワルキューレの拳がおとーさんに当たる寸前で止まります。 「何っ!!」 ギーシュはギョッとしました。自分はドットクラスでしたが、錬金には自信がありました。そして、ルイズがやっと呼び出した使い魔が相手という事で侮っていたのでした。 その使い魔は、ワルキューレの殴ろうとした右腕を左手で掴むと握りつぶしてしまっていたのでした。そして、右手でワルキューレを殴り飛ばし学院校舎の壁に叩き付けたのでした。呆然としていたギーシュと生徒達の前でおとーさんはこう呟きました。 「おとーさん、本気」 突然おとーさんの左手のルーンが光り始めました。するとどこからとも無く巨大な鎧が出現しおとーさんの身体を包み込みます。 【重装陸戦おとーさんα】 この姿の名前なのですが、ここに居る誰一人として知りませんでした。 しかし、巨大なおとーさんの姿を見て先ほどまでうるさかった生徒達は呆然としています。 ギーシュは叫び声をあげながらワルキューレを6体出現させました。破れかぶれでおとーさんに突撃させましたが。紙くずのように引き千切られて行きます。 その光景に、ギーシュは腰を抜かしてしまい歯をガチガチと震わせています。 おとーさんは6体のワルキューレを片付けるとゆっくりギーシュに歩いていき徐に右腕を振り下ろしました。 その場に居たギーシュを含めた全員が目をそむけました。轟音と共に土ぼこりが舞い上がります。野次馬の生徒達は(ギーシュは死んだ)と思いました。 ギーシュ自身も死を覚悟していましたが不思議と痛みがありません。 (これが死というものなのかな・・・) ギーシュはそう考えながらゆっくり目を開けました。目の前の地面にクレーターの様な大穴が開いていました。そして、目線をあげるといつの間にか元の姿に戻っているおとーさんが居ました。 「謝りなさい」 おとーさんはポツリと呟くと、どこかを見ています。ギーシュが、その方向を見るとモンモランシーとケティそしてルイズが居ました。 「仲良く・・」 ギーシュが再びおとーさんを見ると、おとーさんはそう呟きました。 目を瞑り、深呼吸をして落ち着きを取り戻したギーシュはこう言いました。 「敗者は、勝者に従う。僕はおとーさんに従おう・・・この勝負、僕の負けだ」 その後、ギーシュは三人に対して誠実に謝りました。 「面白い使い魔ね・・・ そう思わない?」 キュルケはタバサにこう言いました。タバサは本を閉じ頷きながら指を差します。 「まるで親子」 タバサの指先には、手をつないで部屋へ戻るルイズとおとーさんの姿がありました・・・
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ペシペシ 「きゃぁ、きゃぁ」 ペシペシ 「きゃぁ、きゃぁ」 ルイズは「おとーさん」と名乗る白いゴーレムをほうきで叩きながらぐるぐるその場を追いかけ回しているのでした。 生徒たちのほとんどは、その光景を見ながら腹を抱えて笑っていました。 さすがにコルベールは笑いを堪えていたのでしたが、「コホン」と咳払いをし 「ミス・ヴァリエール。ミス・ヴァリエール!! そろそろ追いかけっこを辞めてコントラクト・サーヴァントを済ませてしまいなさい」 と、ルイズに対して声をかけました。 ルイズは立ち止まり肩で息をしながら考えました (ちょっと変わってるけど、コントラクト・サーヴァントを済ませて躾けてしまえば・・・) ルイズはコルベールに返事をすると、おとーさんに向き直り深呼吸をして落ち着いた上で詠唱を開始しました おとーさんは不思議と逃げずにルイズを呆けたように見ていました。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 詠唱終了と同時に、突然おとーさんの口が開くと黒く「げしょげしょ」と鳴く何かを大量に吐き出しました 「!!!!!!!!!!!!!!!」 ルイズは悲鳴こそ上げなかったものの、内心かなりビビっていた。 しかしそこは貴族、そんな事はおくびにも見せずにささやかな胸を再度張って問いかけました 「いい、今の何よ」 「げしょ」 「げしょ?」 「げしょ」 おとーさんは頷くと聞きなおすルイズそう答えました 「げげ、げしょくらい何だって言うのよ」 ルイズはそう言うとおとーさんの額に杖をつきつけ契約をするのでした 「ミス・ヴァリエール、何とか終わったようですね。さて、ルーンを拝見させてもらいましょうか・・・・」 コルベールはそう言って、おとーさんに近づくと左手に刻まれたルーンを見ながら首をかしげるのであった。 おとーさんも不思議そうにルーンを見ているのでした。 「珍しいルーンですね。宙に浮いて喋るゴーレムも初めて見ます・・・おっといけない」 コルベールはルーンをノートに書き写すと待っていた生徒に向かって 「みなさん、本日はこれにて終了します。学園内に戻りましょう」 「ミス・ヴァリエール、あなたも戻りなさい」 ルイズに向き直りにこやかにそう告げるとコルベールは戻って行きました コルベールと生徒は空を飛んで行くのでしたが、ルイズは飛ぶ事も出来なかったので歩いて帰るしかありませんでした。 一歩踏み出したところでおとーさんを振り返り、 「ほら、行くわよ。ぼーとしてないで歩いて行くからグズグズしないの」 一言言うとため息混じりにまた歩き出した おとーさんは空を見上げていましたが、ルイズに言われて素直にその後をついて行くのでした。 その見上げていた空には二つの月が浮かんでいました。 ルイズは部屋に着くと早速おとーさんに色々説明を始めました 自分はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールという名前で貴族である事 この世界には貴族と平民がいる事 貴族は魔法が使える事 おとーさんを使い魔として召喚したのは自分の魔法である事 召喚した使い魔は主人に服従する事 途中から夜食で用意させたサンドイッチを食べながらの説明はそろそろ終わりを迎えようとしていました。 「後、使い魔は主人の目となり耳となり・・・って出来ないみたいだし。秘薬の材料集めも無理そうね。ゴーレムみたいだからそこそこ強いと思うけど主人を守れるかどうかはまだわからないし・・」 そこでちょっと考えたルイズだったが 「とりあえず、出てきたときに掃除してたぐらいだから。掃除、洗濯と身の回りの世話でもしてもら・・・え? そろそろ帰りたい???」 ルイズは「うーん」と唸りながらこう答えた 「サモン・サーヴァントで呼び出した使い魔は、帰る事は出来ないの・・・・え? 自分で何とかする? あんた何言ってるの??」 おとーさんはそのまま部屋から出て行ってしまいました ルイズが困惑しているとほどなくしておとーさんが帰ってきました。古くてボロボロになったドアを抱えて 「何そのドア・・・拾った? 壁につけて特異点をつなげる??? 意味わかんないんだけど」 ルイズに説明しながらおとーさんは部屋の壁にドアを据え付けていきます 「危ないから下がってて? その前にそんな所にドアなんかつけないでよ!! 壁に穴でもあけたら承知しないわよ!!」 ルイズやっぱりこの使い魔はわけがわからないと頭を抱えていると、突然ドアの方から 「シババババババババババババババババッ」 と聞いたことも無いような激しい音と眩いばかりの光が発生しました 「ここ、このバカ使い魔!!! いきなり何やってんのよ!!!」 怒鳴るルイズをよそにおとーさんはおもむろにドアを開きました。 「ただいま~」 「あ、おとーさんお帰りなさ~い」 「ちょっとアンタ!どこほっつき歩いてたんだい!! それにこんなドア作って!!!」 「げしょげしょ」 ルイズは呆然としているのだったた。理解の範疇を完全に超えていたので無理もありません。 その後、キュルケとタバサがうるさいと文句を言いに来たのだがルイズは口をパクパクするだけで何も答えられませんでした・・・
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ルイズはキュルケとの関係を食堂へ行く間におとーさんに説明しました。 「おとーさん、いい?わかった?これからキュルケとキュルケの使い魔とも話もしちゃだめだよ」 おとーさんはちょっと悲しそうにポツリと呟きました。 「・・・なかよく」 ルイズにはこの時おとーさんの呟きは聞こえませんでした。しかし、後にルイズはその言葉を聞くことになります。 アルヴィーズの食堂に着くと大きく豪華な食堂についての講釈をルイズが始めましたが、おとーさんはあまり聞いてはいないようです。その後椅子を引かないおとーさんをルイズは怒り説明します。周りの生徒はその様子を見ながらクスクス笑っています。そして、ルイズはおとーさんの食事を床に置かれた木箱の上の質素をはるかに下回るパンとスープであると説明しました。 (私は豪華な食事。おとーさんは床で質素な食事。これで上下関係をしっかり認識してもらうわよ) 始祖ブリミルへの祈りも終わり食事が始まるとおとーさんは汗を流しながら料理を見ています。そして、徐に口に運ぶと・・ 「う、うまい」 と言いながらごく普通に食べていました。 (もも、もっと質素にすれば良かったのかしら・・・) その様子を見ながらルイズは作戦が空振りだったなと思っていましたが、思いもよらぬ出来事が起こりました。 おとーさんが食事を終わった時、他の生徒はすでに食べ終えていました。しかし、ルイズは食べるのが遅くまだ食べていました。そんなルイズの元におとーさんが近づいてきました。そして、ルイズが食べ残していたサラダを指差すのでした。 「な、なによ」 「からだにいい」 「え? ほっといてよ!私このサラダ嫌いなのよ」 ちょっと怒っているルイズに対しておとーさんはさらに近づき。 「からだにいい!!」 おとーさんの迫力に押されてしぶしぶサラダを食べるルイズでした。ちなみに、ルイズも身体にいいならと、おとーさんにはしばみ草のサラダを食べさせました。もちろんさっきの仕返しのつもりです。しかし、モリモリと食べるおとーさんにそれ以上何もいえなくなりました。少し離れた席でその一部始終を見ていたタバサはおとーさんのはしばみ草の食べっぷりにはしばみ草の愛好家として物凄い親近感を覚えるのでした。 朝食が終わるとルイズはおとーさんを教室へ連れて行きます。 教室には生徒とその使い魔が居ました。もちろん、大きくて教室に入りきれない使い魔は外に居ましたが。おとーさんは使い魔なので他の使い魔と一緒の場所にいることになりました。 シュルヴルーズが教室に入ってきて授業が始まりました。ふと、ルイズはおとーさんの様子が気になりその方を見てみました。 すると、使い魔たちが一匹ずつおとーさんへ挨拶をしているような光景がそこにはありました。 (そういえば・・・今朝キュルケのサラマンダーににらめっこで勝ってたみたいだけど・・・結構強いのかしら?) そんな事を考えながらよそ見していた所を運悪くシュルヴルーズに見つかってしまいます。 「ミス・ヴァリエール、授業中によそ見とは余裕があるようですね。」 「え? あ、ははい」 完全によそ見していた事がばれてしまったルイズは錬金の魔法をするように言われました。他の生徒は口々にシュルヴルーズに対してルイズにさせる事が危険だと言います。ですがシュルヴルーズは再度ルイズに錬金するように言いました。ルイズは失敗しないように頑張っていつも以上に集中しました。使い魔の前で失敗したくなかったからです。生徒たちは机の下に隠れたり外へ避難したりしました。 そして、いつも以上に集中していた為にいつも以上の盛大な爆発が起こりました・・・
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基本スペック 基本能力値 考察 基本スペック 名前 ルイズ 異名 魔界人 種族 魔人族 雇用種族 魔人 雇用クラス 魔人系 特殊雇用 初期勢力 放浪 初期レベル 5 初期スキル 魔人剣、ダークネスE 固有スキル リーダースキル 魔力UP、魔力限界突破 必殺スキル なし 取得スキル 基本能力値 基本能力値 HP 1400 MP 100 攻撃 80 防御 30 魔力 80 魔抵抗 30 素早さ 80 技術 80 HP回復 3 MP回復 5 移動 220 移動タイプ 魔界 exp_mul 125 召喚可 2 耐性 火 水 土 風 霊 光 闇 弾幕 毒 麻痺 幻覚 混乱 沈黙 石化 恐慌 吸血 魔吸 ドレイン 即死 パワフル 洗練 弱い 強い 強い 強い 強い 強い 超強 強い 強い 強い 強い (空白は強くも弱くもない・普通) 限界突破 限界突破Ⅰ:スキルを強化します(ダークネスE→ダークネスN) 限界突破Ⅱ:スキルを強化します(魔人剣→魔人剣Ⅱ) 限界突破Ⅲ: 考察 名前 コメント すべてのコメントを見る ある程度レベルが上がるまでは神綺の部下推奨 -- (名無しさん) 2011-09-08 22 21 46
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おとーさんがルイズに怒られながら机を拭いている時、外の方からおとーさんを呼ぶ声がしました。 「おまいさん、帰ってるんなら風呂用の薪でも作っといておくれよ」 明らかに女性の声でした。その声を聞いておとーさんは外に出ていきました。 ルイズは、おとーさんの家族について来る前に少し考えていました。 おとーさんから名前だけは聞いていたのですが、姿形はたぶん同じようなゴーレムだろうと考えて聞きませんでした。 色は白だろうか、黒だろうか、ひょっとしたらピンクかもしれない・・・・そんな事を考えていました。 「おや、いらっしゃい。たしか『ルイズ』さんだったかねぇ、うちの宿六から話は聞いているよ」 おとーさんの奥さん「おかーさん」が入ってきました。おかーさんを見たルイズは固まってしまいました。ルイズが考えていた斜め上を行っていたからです。 身体の色は紫で、形は丸くフワフワモコモコです。身体の大きさも座っているルイズ位です。ゴーレムと言うよりも生物、もっと言えばネズミの様な姿をしていました。 「ター坊やジョンの奴がなんか迷惑かけたみたいだけど、人んちを覗く方が悪いのさ。まぁ、御相子ってとこだろうね」 お茶を入れながらおかーさんはルイズに話しかけますがまだ理解できていないようで口をパクパクしています。 その様子を見てお茶をルイズに差し出しながらおかーさんはこういいました。 「まぁ、私たちの事は後でゆっくり話すとして。その前にルイズさん。うちの宿六と何があったのか・・・聞かせてもらおうかねぇ」 ルイズは戸惑っていましたが、あまりの出来事の連続に反発する事も忘れ素直に話始めました。 ハルケギニアやトリステイン魔法学院の事 自分がおとーさんを召喚した事 おとーさんと契約して使い魔にした事 使い魔とはどういうものなのか 召喚してから今までの出来事・・・ ルイズの話を聞き終わったおかーさんは、確認をする様に質問しました。 「そうだったのかい。使い魔の契約だっけ?それ自体も解消できないんだね?」 ルイズが頷くとため息をつき少しの間考えるように遠くを見ていました。 おかーさんはルイズに静かに話し始めました。 「仕方ないか・・・。あたし達にかかわっちまったし、こっちの事も話さないとねぇ・・」 宇宙船同士の接触事故 相手の宇宙船が惑星アニカへ墜落した事 そのなかで一人だけ生き残った赤ん坊の事 そして・・・ 「おかーさん、ただいま~~!!」 可愛い人間の女の子が元気よく帰ってきました。おかーさんが女の子の方へ行くとおとーさんとお風呂へ入るように言いました。 戻ってきたおかーさんはお茶を飲むとため息をつきまた話し始めました。 「帰るところがわからないあの子の為にニセの家族をでっちあげて暮らしてるんだよ。せめて迎えが来るまで育てることが死んだあの子の両親への罪滅ぼしだって思ってるのさ・・・」 おかーさんは思いつめたように話します。ルイズは一部わからない単語等ありましたが大まかにおかーさんの話を理解しました。 「ルイズさん、あんたの話もわかったし協力できる所は協力するよ。ただ、あの子の為にルイズさんにも協力してもらえないかねぇ」 ルイズは少し考えましたが、ウンと頷くと優しく微笑んで快諾するのでした。 安心したおかーさんでしたが、あることを思い出しルイズに尋ねてみるのでした。 「ところでルイズさん。うちの宿六なんだけども、あたしが考えるにたぶんあんたの事『娘』だと思ってるみたいだねぇ。心当たりとかないかい?」 おかーさんの言葉にキョトンとするルイズでしたが、色々思い出しているうちに顔が赤くなってきました。 「たたた、確かに。そそそんな気もするかも・・・」 おかーさんはルイズの様子を見ながらさらにこういいました。 「やっぱりそうかい。あの宿六が単なる契約ごときで仕えるとは思ってなかったからね」 お茶を飲みながらルイズに話終わったおかーさんから夕食でも一緒に食べないかと提案がありました。 最初、遠慮していたルイズでしたが材料も用意してあるからとおかーさんに押し切られる形で一緒に食べる事になりました。 本当は、話している最中にルイズのお腹が鳴ったのでおかーさんが気を使ってくれたのでしたが。 おかーさんが台所に行くとおとーさんと女の子がお風呂から上がってきました。 すでに着替えを済ませていておとーさんと話をしながらルイズが居る部屋まで来ました。女の子はルイズを見るとすぐに挨拶しました。 「あたしコロナ!おねぇちゃんはだ~れ?」 「私は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。長いからルイズでいいわよ。ヨロシクね」 それからルイズは、コロナとたわいも無い話をしていました。 ヴァリエール家の三女だったルイズは妹が欲しいと思っていた事もあったのでコロナとの話は凄く楽しかったのでした。 その後の、四人での夕食もルイズにとっては決して豪華というわけではありませんでしたが温かいものでした。 コロナとまた遊びに来ることを約束してルイズは部屋に戻りました。おとーさんはそのまま扉を閉めようとしましたが、ルイズが話があるからと部屋に招き入れました。 「おとーさん、私の事・・・娘だと思ってるの?」 ルイズは意を決しておとーさんに尋ねました。ルイズの問いかけにおとーさんは頷くとこう言いました。 「・・・ルイズもコロナも娘」 ルイズはやっぱりと考えながらこう言いました。 「本当は、私はおとーさんの主人なの。おとーさんは私の使い魔なの」 ルイズの言葉にしょんぼりするおとーさんでした。そんなおとーさんにしゃがんで目線を合わせたルイズはこう続けました。 「でも、コロナちゃんの事もあるし特別に娘って事でいいわよ」 それを聞いたおとーさんはとても嬉しそうでした・・・・
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「マスターよ、朝だ」 男がすやすやと眠る少女に語りかける、しかし少女は一寸も目に光がささらないようグッと閉じようとしといる とりあえず寝ている少女の毛布をはいだ 「な、なによ!なにごと!」 少女が驚きながら上体を起こす 「朝だから起こした」 「はぇ?そっそう・・・・ってあんた誰よ!」 寝ぼけた表情で男に怒鳴る少女、男が口を開く 「ロムだ」 第二話 少女の使い魔となった戦士 「ああ、昨日召喚した使い魔ね」 ロムを召喚した少女、ルイズはベットの上で上がり欠伸をひとつ、そして命令 「服」 ロムは椅子に掛かっている服を取りに行く、さらにルイズは命令する 「下着も取って」 「何処にある」 「そのクローゼットの下、引き出しに入っている」 言われるままに引き出しを明けて適当なのを取りだし制服と共に渡す するとルイズはネグリジェを脱ぎ始めたのでロムは少し慌てて後ろを向く (やれやれ、やはりこれだけは慣れないな。それにしても何故今女性の肌がこんなにも艶やかに見えるんだ・・・?以前はそれほどでもなかったのに・・・・) 兄さん、それは男性のサガです 「じゃあ服を着せて」 「・・・・・・・・」 ロムは目をそらしながらブラウスのボタンを留めていく 二人は着替えが終えて部屋から出ると目の前のドアから女の子が出てくる。長い赤毛で身長が高く、大きく突き出たバストが特徴的な少女、「微熱」のキュルケ・ツェルプストーだ 「おはよう。ルイズ」 「おはよう。キュルケ」 ルイズが嫌そうに返すと 「あらあら、やっぱり昨日の召喚は夢じゃなかったのね」 バカにした口調で言うと 「でも平民ではね~、ふふふ、あっはっはっは!」 含み笑いの後の大笑いのコンボにルイズはプルプル震えている (どうやらこの二人の仲は最悪のようだな・・・・、あまりお互い近づけない方が良いか) 二人の交流を見て学習するロム、するとキュルケの後ろから真っ赤で巨大なトカゲが現れた。尻尾が燃え盛る火で出来ているのが主人の胸の様に目立っている 「これって、サラマンダー?」 ルイズが悔しそうに尋ねた 「そうよー、見てよこの大きい尻尾についた大きな火、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ!惚れ惚れしちゃうわ~」 「あんた『火』属性だもんね」 「ええ。微熱のキュルケですもの、あなたと違って私はちゃんと自分に相応しい使い魔を召喚してるわ、それよりも・・・・あなたの使い魔は」 キュルケはルイズの後ろで手を腰に当てて一部始終を見ていたロムに視線を合わせる 「貴方お名前は?」 「ロム・ストール」 「ロム・ストール?ここらへんでは聞かない名前ね。じゃあお先に、ゼロのルイズ」 炎のような赤髪をかきあげ、サラマンダーと共にキュルケは去っていた (それにしても・・・・、いい男だったわ。) 「くやしー!何なのあの女!自分がサラマンダーを召喚したからって!」 「マスターは俺を召喚したからいいじゃないか」 「よくないわよ!メイジの実力を見るには使い魔を見ろって言うのよ!平民とサラマンダーじゃ犬と狼を比べるのと同じよ!!」 (その例えなら俺が狼だな) 「ところで、彼女、ゼロのルイズと言っていたが、『ゼロ』とは何だ?」 「あだ名よ、嫌いだけど」 ルイズはさっきよりトーンを落として呟いた 「彼女は自分の事を微熱だというのはわかるがマスターは何故ゼロなんだ?」 「うるさいわね、さっさと食堂へ行くわよ」 プンプンしながら奥へ歩いていくルイズ (そういえば昨日も周りの生徒は宙を浮いて移動していたがルイズは歩いていたな。それが関係しているのか?) トリステイン魔法学院の食堂は非常に広く、やたら長いテーブルが3つ並んである 前の椅子に座った先生やメイジが楽しそうに雑談している。 その上豪華な飾り付けがなされていてこの学院の華やかさを物語っている ロムはその物珍しさに周りに目を配り、気が付くとルイズが得意気に言った 「トリステイン魔法学院が魔法だけじゃないのよ。メイジはほぼ全員貴族なの。『貴族は魔法をもってしてその精神となす』がモットーのもと、貴族たるべき教育を存分受けるのよ」 ロムはその言葉を聞くと深く頷く。 彼もまた、クロノス族の族長である父の教えより身体だけではなく精神の成長が大切である事を教えられていた 「世界が違えど心の教えは変わらぬのだな」 「何か言った?」 さてロムはここに来て重大な問題に気付く。それは食べ物、エネルギー原の有無である。 もともとマシン生命体はエネルギーカップ、もしくはロムトロンと呼ばれる物でエネルギーを補給するのだが残念ながらこの世界にはどちらも無い。 エネルギーが補給出来ないことは餓死に繋がる・・・・。 「何ずっとパンとにらめっこしているのよ、ひょっとして食べないの?」 「いや・・・・、そうではないが・・・・」 椅子に座って朝食を食べているルイズが床であぐらをかいて皿を睨むロム見下ろして言う 「言っておくけど、渋っても何も出ないから。平民がここに入れる事だけでも珍しいのよ」 仕方がなくパンにかじりつくロム (硬い・・・硬すぎる・・・・、これは食べ物なんかじゃ無い。 こんなものを作った奴の顔を見てみたいな・・・・) などといつもは考えもしない事を心の中で呟き、良く噛んで飲み込む。そして・・・・ (・・・・なんとかなるか) どうやら大丈夫のようである
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前ページ次ページルイズの魔龍伝 6.ブルドンネ街 決闘から三日、ルイズの周囲は少しずつ変わっていった。 まず表立って馬鹿にする生徒が少なくなったのである。 メイジについて表す言葉に「メイジの実力を見るなら使い魔を見ろ」というのもあり 「ギーシュのゴーレムを圧倒的かつ一瞬で葬り去ったのはルイズの使い魔」 という衝撃的事実はあっという間に学院内を駆け巡っていた。 元々魔法以外の成績はトップクラスであり、家系もトリステインの中では相当に有名な部類に入るので 「あのルイズがとうとう」と感心する者もいたという。 「どうせ嘘に決まっている」「ルイズが凄いのではなく使い魔が凄い」 人づてに話を聞いた者や、ルイズを侮蔑目的でからかっている心無い者もいたものの 決闘の当事者であるギーシュとルイズ、更にこの決闘を見ていた彼女らのクラスメートも多く 何より使い魔の名前が「ゼロ」であったためルイズのクラスでは「ゼロ」とルイズを馬鹿にする者は一人もいなくなった。 「アンタが名前をゼロゼロ言うから私の二つ名が“ゼロ”のままじゃないのよーーーーーーー!!!!」 当人はこんな感じで相変わらずご立腹であったが。 「買い物に行くわよ」 その日の夜、ルイズから提案があった。 話によると明日は休日にあたる虚無の曜日なので街へ買い物に行くとの事らしい。 「それで、アンタの寝具と…剣ね、それを買うわ」 「…どういう風の吹き回しだ」 「あんたがボロっちぃマントで寝てるのがみっともないからよ! 使い魔の管理をするのも私の仕事!それに…私が受けた決闘で剣、壊しちゃったみたいだし…」 今までの待遇からするとあり得ない提案とちょっとしおらしくなった言動に疑心暗鬼になるゼロ。 この娘の事だ、何か物を買わせてまた雑務を押し付けるに違いないと彼は思ってしまった。 「物で釣っても俺は着替えの手伝いもしないし顔は洗わんからな」 使い魔が出来て色々と雑務をさせようというルイズの企みは事実失敗に終わっていた。 呼び出して2日目の朝は何とかなったものの、それ以降は着替えと洗顔に関しては 「そのぐらい自分でやれ」と断固として断られたのだ。(水は朝の鍛錬のついでに汲んでくれているようだが) 更に部屋の掃除と洗濯は率先してシエスタがやるようになってゼロをこき使う機会も無くなってしまった。 着替えと洗顔をやらないなら飯を抜こう、とは思い立ったがシエスタの話では 決闘で気を良くした厨房の人達がご飯を出してくれており、ゼロも 「俺の飯と、シエスタがルイズの世話をしている礼だ」 と薪割りや物の持ち運びなどの力仕事や使い魔への餌やり(使い魔達がゼロに妙に懐くかららしい)を 行っているので「言う事聞かないから飯を抜く」とはとても言い出せなかった。 しかし決闘で見事圧倒的な力の差を見せ勝利した使い魔、 褒美で何か買ってやろうという気持ちも無い訳ではなかった。 それがゼロの一言で見事に打ち砕かれた。 ゼロの鈍感な言葉にルイズの心に火が灯り、それは徐々に炎を形作る。 「あー…っそ! アンタ異世界から来たなら当然この世界のお金ってのは持って無いわよね?」 「そういえば…そうだな。元々流浪の身だから手持ちは殆ど無かったが…」 「いくら強くても騎士たるもの、剣を持ってないと駄目よねぇ…!」 「確かに…いや、向こう側にいた頃のように魔物を退治をして路銀を…」 「私がそんな事許可すると思う?それより何より、アンタの種族はこの世界でアンタだけ。 信用されるどころか下手すると魔物扱い、追う筈が追われる立場にねぇ…」 「くっ!」 この世界での路銀と、決闘で使い物にならなくなった剣の調達。 食事と寝床が保障された学院に数日いたおかげでそこまでゼロの考えが回っていなかった。 実を言えば雷龍剣には剣を使わない技もあるのだが、的確な指摘をされたゼロは すっかりルイズのペースに呑まれてしまいぐうの音も出なかった。 「まぁ、別に物を買い与えて働けって訳じゃないのよ? 私は決闘ですっごい活躍したゼロになんか買ってあげようかなーって思っただけ。 でも、そう思ってたのにガンダムが「物で釣っても働かない」って勝手に決めつけちゃって…」 「ぬぬ…」 「あー傷ついたなー、ご主人様すっごい悲しいなー」 あからさまな演技なのは分かっているのだが、もはや言い返す言葉が見つからないゼロ。 彼女が「あの言葉」を要求しているのは何となく感じてはいるが自分の意地がそれを言わせまいとしていた。 「ガンダムがもうちょっと素直ならねぇ…」 「(迂闊に疑ってしまった俺にも非がある… 仕方が無い、背に腹はかえられん…)」 「疑り深くなって…すまなかったな、ルイズ」 「もっと分かりやすく簡潔に」 「何?」 「反省しているんでしょ?じゃあもっと分かりやすい言葉がいいわ」 ルイズの顔はとてもにんまりしていた。 しかしそれはクックベリーパイを前にした時のような無邪気なものではなく、 何か黒いものが奥底にあるような邪悪なにんまり顔。 その顔を前にゼロはその言葉を言わざるを得なかった。 「……ごめんなさい」 「よろしい、じゃあ明日はお買い物ね」 ルイズ、召喚して以来初めてゼロより優位に立った瞬間であった。 「…プフッ」 「何がおかしい」 明くる朝、魔法学院前の正門前。 馬に乗ったゼロを見てルイズは思わずちょっと吹き出していた。 ゼロの身長こそルイズよりも大きいとはいえ、ゼロの頭身は大体2.5~3頭身であり 馬に乗っているゼロの姿はルイズの目にはなんともユーモラスに映っていたのだから。 「何でもないわよ……ックク」 「昨夜か!?昨夜のアレか!?俺はもう謝ったぞ!」 「じゃあ私が先導するから付いてらっしゃいな」 「おい!」 昨夜のやり取りの事かと思ったゼロが話しかけても、どこ吹く風といったルイズは ゼロをよそに楽しそうに馬を走らせていった。 ブルドンネ街、トリステイン王国で一番の大通りである。 休日で人がごった返すそこを窮屈そうに歩くルイズと、それに付いてくる フードを目深にすっぽり被った何か…もといゼロ。 何があったかというと、街に近づくちょっと前に馬を止めたルイズから 「ゴーレムにしてはかなり例外な見た目だし喋るから目立つわよね…」 という懸念から来る提案で表向きは「自分で喋る珍しいゴーレム」という扱いで行動することになった。 無論ゼロも余計な騒ぎは好かなかったので 「ルイズにしては中々真っ当な考えだな」 と彼女に蹴りを入れられるような感想を返しつつ素直に承諾した。 街の入り口にある駅で馬を預けた時も最初は駅の者に珍しい目で見られたが それだけだったので一安心で街へを繰り出せたのである。 「ん~と、確かこの路地を入って……四辻を抜ければ近くに武器屋だったかな…」 記憶を辿りながらルイズは人ごみを外れて街の裏路地へと入ってゆく。 建物の間に位置する日の差さない路地は昼間でも薄暗く、そこらに汚物やゴミが散らかっており ゴロツキやならず者の溜まり場になっていた。 昼間はそこまでたむろしている訳でもなく、壁にもたれかかったり地べたに座ってる者が ほんの少しいるぐらいでここを通るルイズとゼロを一瞥するとまた視線を元に戻していた。 「おいお嬢ちゃん」 が、もうすぐ四辻に出ようという所で道端に座っていた男に声をかけられてしまった。 そいつがすっくと立ち上がって前に立ちふさがると同時に、後ろからも男が三人ほど こちらに向かって歩いてきておりちょうど挟まれた形になる。 「…ちょっとそこを通して欲しいんだけど」 「通して欲しいってかお嬢ちゃん!げひゃひゃひゃ!」 前にいる男の片方が卑下た笑いをし周りの男達もニヤニヤと笑いを浮かべる。 しかめっ面で対峙しているルイズをよそにゼロは男達の観察をする。 後ろから来た男達はちらつかせてはいないものの腰元に短剣をぶら下げていて いつでも抜けるような態勢になっており、前の男はというと何も持っておらず 腰にも何かぶら下げている様子は無かった。 「(……後ろ三人はともかく前の奴は何も持っていないな、一体どういう事だ?)」 「ここは俺達の縄張りって奴でな、通る奴には通行料を頂いてるんだ」 「で、いくらたかろうってのよ」 「お嬢ちゃん可愛い見た目して言い方キツいねぇ、じゃあ金貨20枚って所だな」 ルイズが買い物に持ってきた金額は新金貨300枚。ルイズが200枚、ゼロが100枚持っており 出せない金額ではないもののカツアゲとあっては貴族のプライドが黙ってはいなかった。 「ゴロツキに出すものは何も無いわ、そこをどきなさい」 いつもの調子でルイズが言い放つとやはり男達は卑下た笑いを浮かべた。 「よぅし分かった、じゃあ払わない場合どうなるかご覧頂こうか」 前に立ちふさがる男が後ろのズボンをまさぐると短い棒――即ちワンドを取り出した。 「悪いが俺はこのブルドンネの裏通りじゃちょいと有名でね」 そう言った片方の男がワンドを壁に向け呪文を唱える。 小さな炎がワンドの先に発生しそれは膨れてあっという間に火球へと変貌してゆく。 ファイヤーボール、火球を発生させそれを放つ火系統の魔法である。 杖を向けた瞬間から身構えるルイズとゼロに余裕ありげに男が話す 「おっと今は当てないから大丈夫、い・ま・は」 そう言うと発生した火球が二個、三個と増えてゆく。 「兄貴を怒らせると痛い目に遭うぜぇ!」 「何せトライアングルだからな兄貴は!治療が追いつかねぇほど爛れちまうかもなァ!」 「悪いが後ろへ逃げようとしても、呪文を唱えようとしても、俺達がブスリ!といくぜぇ…」 後ろにいた男達が腰の短剣を抜いて構える。 「(ゼ、ゼロに何とかしてもらわないと…って剣使えないじゃない! 壊れたからって学園内に置いてきてたんだった!でも壊れてるからあの技は使えないんだし 持って来てもしょうがないって言うか…えーっとえーっと…)」 目があちこちに泳ぎどうしようもないルイズの様子に「カモれる」とふんだ男達がにじり寄ろうとしていたその瞬間であった。 「お待ちください!我々とて争いは好みません、金貨はお支払いしますので 袋から金貨を取り出すまでお待ちいただけないでしょうか!」 ゼロは確かにそう言い放った。 それを聞いて唖然とするルイズと、話がまとまったと思い返事をする男。 「従者さんは賢い事で!おい、お前らそこで止まっときな!何か怪しい素振りをしたら俺が始末する」 「ちょっと!何言っ…」 「お嬢様申し訳ございません!ここはひとつ彼らに!」 ゼロはそう言うとルイズの手を掴み引き寄せる。ファイヤーボールが周囲を照らしているものの 薄暗い場所なので鼻先まで近づかないと深くフードを被ったゼロの顔は見えない。 鼻先までゼロの顔が近くに来た時、小声でゼロが喋った。 「いいか、俺が合図をしたら後ろの三人の男の誰でもいい、手に持ってるナイフを錬金してみろ」 「いきなり何なのよ、そこまで正確に狙いつけてやった事無いし」 「これも経験だ、前のメイジは俺がやる」 「アンタ剣無いじゃない」 「心配するな、手はある」 「手だけあってもしょうがないじゃない!」 「そういう意味の手じゃない!」 「おい従者さんよぉ!いい加減早くしてもらえねぇかなぁ!何なら従者さんから先に焼いちまってもいいんだぜ!」 「申し訳ありません!早速お金を…」 「とにかくお前を信じてるからな」と言いルイズの前に立ち金貨の詰まった袋を前に掲げる。 ひゅぅ、と男が袋を確認しゼロ達に向けていた杖を下ろしたその時。 「今だ!」 ゼロの袋を持ってない空いた片手が男の方に向くのと、ルイズの杖が後ろの男達に向いたのはほぼ同時だった。 「錬金ッ!」 「雷電破(サンダーエレクトロン)!」 ゼロの手から稲妻が男に向かって迸る、それは杖を向きなおした男にとってあまりにも早すぎる攻撃であった。 火球を飛ばす間もなく稲妻が男の体を貫き、火球が虚しく掻き消えながら男が崩れ落ちる。 ルイズの錬金は狙いを外す事無く、見事真ん中の男のナイフに作用しいつもの失敗のようにナイフが爆発した。 「武器屋に走るぞ!」 「う、うん!」 ゼロの呼びかけにルイズが走り二人はその場を走り去ってゆく。 倒れた男の手に持っていた杖が走ってゆく二人に踏まれ、虚しく軽い音を立て割れた。 余談だが、そのほんの少し後に爆発音に気づいた通行人が様子を見に行った所、気絶している男と 何かに吹き飛ばされたかのように壁に打ち付けられて気絶した煤だらけの男三人が発見された。 男達は「貴族のガキとフードを被った従者にやられた」と証言しているものの ここらへんで顔の知れたゴロツキであるのと証言のみで信用に乏しく、この件に関しては 「内輪もめの喧嘩」として処理されたそうだ。 閑話休題 ゼロとルイズは何とか武器屋の前まで辿り着いていた。 周囲を見回しているゼロに対し、恐らくはあまり運動をしていないであろうルイズは すっかり息を荒くしており肩で息をしていた。 「…この様子だと奴らは全員気絶していると見て間違いないだろうな、上手くやったな」 「アンタ…さっき…かっ……雷を…ぜぇ…手から撃ってなかった…?」 「あれも雷龍剣の技だ。まぁかなり加減はしてあるが」 「なんなのよもう…なんでもありじゃない…」 「しかしこれぐらいで息が上がるとは鍛えが足りないな、少し運動しろ」 「う…うっさ…い!」 「店の前で何だいあんたら!買うなら買うでさっさと入りな、冷やかしならさっさと…」 「買うわ!買うわよ!」 いつの間にか武器屋の入り口に立っていた五十がらみの男が、パイプを片手にうっとおしそうに二人へ話しかけてきた。 しかし勢いよく買うわと答えながら振り向いたルイズの胸に紐タイ留めに描かれてある五芒星を見て 「これはこれは貴族様でございましたか!」 と、彼はころっと態度を変えつつ、もみ手しながら二人を店まで案内したのであった。 その頃、魔法学院内の学院長室―――――― 「ミス・ロングビルや」 「はい、なんでしょうオールドオスマン」 「おっぱい揉みたい」 「今度は折りますよ」 いつものようにオスマンのセクハラな質問を書き物をしているロングビルが無慈悲な返答で返す。 「…ちょっと位ケチケチせんでもええのに、まーええわい。ミス・ロングビルや、この間宝物庫の目録を作りたいと言っておったの。 今用事があって宝物庫に入るところでな……行ってみるかえ?」 「えぇ、是非」 施錠の魔法がかかった引き出しを開錠し、大人の掌ほどの頑丈そうな鍵を一つ取り出したオスマンとロングビルは学院長室を後にした。 オスマンの後ろを歩くロングビルの顔が今までにない、歪んだ笑みを浮かべていたのには 前を歩いていたオスマンが気づくはずも無かった。 「ここが…宝物庫」 箱に収められているアイテムが大半であるが、様々な杖がかけられている一画があったり また別の壁に目をやれば見た事も無い剣や鎧などが置かれておりそれらが一体となって 尋常ではない空気をかもし出していた。 「わしはちょっと探し物をするから、ロングビルは目録を頼むぞい」 「はい」 宝物庫の奥へと進むオスマンを見届けると、ロングビルは目録を記しつつ保管している箱や 飾られている鎧をやけに丁寧に眺めた。 「…飾ってあるのは大体かさばるような大きさで…箱は魔法で施錠…流石に今ここで…ってのは無理、ね」 「何か言ったかのー!」 「い、いえ、なんでもありませんわオールド・オスマン!」 「…お、あったあった」 オスマンの方から声が聞こえ、つい声に出してしまったとハッとするロングビル。 しばらく目録を作る作業に打ち込んでいるとオスマンがレビテーションの魔法で大きな箱を三つほど浮かせて持って来た。 「よいしょと、ふぃー…長らくしまっておると出すのにもひと苦労じゃわい」 「それは何ですか?」 「聞きたい?」 宝物庫の開けた場所に置かれた三つの箱を前に、オスマンの手がいやらしくわきわきと動く。 「一揉み100エキューはいただきましょうか」 「…しゅ、しゅみません」 にっこりとした顔でオスマンの襟を締め上げるロングビルにどうしようも出来ず、 素直にオスマンはこの箱について話す事にした。 「これは三つ合わせて「三獣の武具」とワシは呼んでおる。 それぞれ獅子と、梟と、竜をあしらった武具じゃから三つ纏めて“三獣”という訳じゃな」 「三獣の武具…思い出しました、宝物庫に納められている物の中でも指折りのものだと聞いております。 確か斧・杖・盾の三つでしたわね。しかしそのような代物を何故?」 「これを受け取るべき者が現われた、とでも言うておこうかの」 「受け取るべき…者…」 「これでいつでも武具は渡せる準備は整ったの、ではここから出るぞい」 「はい」 オスマンの後に続いて部屋を後にするロングビル。 閉じてゆく扉の向こう側にある三つの箱を見ている眼差しはいつもとは違う、獲物を定める狩人の眼差しであった。 ――――――――――――三獣の武具、今度の獲物はこいつに決まりだねぇ 前ページ次ページルイズの魔龍伝
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食事を終えて教室に移動する 生徒達は各々横に自分の使い魔を置いて授業の準備をしている ルイズも机に座り準備を始めた シュヴルーズは生徒達にお復習のつもりで淡々と魔法の四元素説明していく そしてそれぞれの元素をマスターする事によってドットからライン、トライアングル、スクウェアとランクを上げていく事も、魔法が無い世界の住人であるロムも理解することが出来た 「ではこの魔法を実際に・・・・、ミス・ヴァリエール、貴方にやってもらいましょう」 「ふぇ?私ですか?」 ルイズが指名された途端、教室がざわめき始める。 (なんだ?急に部屋の空気が・・・・) ロムが疑問に思う頃にはルイズが席から立ち上がり教壇に向かおうとする 「ルイズやめて、お願い」 キュルケが青い顔をしてルイズに言う 「成功させれば文句無いでしょ」 「でも貴女はゼロ・・・・」 「皆さん冷やかしはお止めなさい、ではミス・ヴァリエール宜しくお願いします」 この会話を聞いていたロムは閃いた (ふむ、どうやらゼロという理由がこれでわかるらしいな) 教壇に立ち、呪文を唱え触媒に杖を向けるルイズ。 その時、触媒が爆発し周りのものがぶっ飛んだ。 煙が明けるとシュヴリーズは気絶しており、ルイズはは真っ黒になりながらも平然と立っていた 「ちょっと・・・・、失敗しちゃった見たいね」 ルイズがそう言うと周りからブーイングが起こる 「何をやっているんだよー!」 「だからゼロのルイズにやらせたくなかったんだ・・・・」 「魔法の成功率ゼロのルイズ!これどうするんだよら!!」 (ケホッケホッ、成る程・・・、だからゼロなのか) ロムは納得した 「マスター、これで終わりだ」 授業の後、二人は罰として教室の片付けを命じられた ロムが言われるがままにテキパキと仕事をこなしたので思ったより早く終わった「あ~も~どうしていつも失敗しちゃうのよ!」 「マスターそんなに癇癪を起こすな。次は失敗しないようすればいいじゃないか」 「それが出来れば苦労してないわよ!」 どうやらそれなりに自覚はしているようである 「は~あ~、こんな事じゃ何時までゼロって呼ばれるわ・・・・、私これからどうなるんだろ・・・・」 そういってもう一つ深いため息をつく そんなルイズを見てロムが下を向いて語り始めた 「どんな夜にも必ず終わりが来る。」 突然雰囲気の変わったロムに驚くルイズ 「闇が溶け、朝が世界に満ちるもの・・・・、人、それを黎明と言う」 「な・・・、何言っているのあんた」 「つまりそういうことだ。今は後先が見えぬ状況でも、必ずそれを打破するきっかけが見つかるものだ。 今日の失敗を乗り越え、明日の成功の為に努力する。 それは魔法使いにでも言える事じゃないのか?」 「・・・・・・・・」 顔を上げて微笑むロム、確かにそうだ 今日失敗した事を明日の成功の為に反省すればよい。 確かにそうだ、確かにそうだが・・・・ 「あんた・・・・」 「ん?」 「ご主人に何説教しているのよー!!!」 「なっ・・・・!」 ルイズが突然の怒鳴り声に驚くロム、確かにロムの言っていた事は筋が通っている しかし自分は貴族。 ロムは平民でしかも自分の使い魔。 使い魔に説教される貴族なんて末代まで言えぬ恥である。 ロムは無意識にルイズのプライドを傷つけたのであった。 「あんた、今日一日ご飯抜きよ!でも雑用はしっかりやってもらうからね!」 そういうとルイズは真っ赤な顔で教室から出ていき、ロムだけが残された。 (う~む、前の戦いから取り入れたエネルギーは今日の朝のみ、その量も多いとは言えない。 流石に今日一日はキツいな) そんな事を考えながら食堂の前を通り掛かると 「あの~」 「ん?」 「今お一人でしょうか?」 後ろを向くとメイド服を着た少女、シエスタが立っていて自分に語りかけた 「ああ、一人だ」 「じゃあ厨房に来てくれませんか?料理長が呼んでいますので」 (料理長?何故俺に用があるんだ?) 不思議に思いながらもシエスタに連れられ厨房に付いたロム 「マルトーさーん!連れてきましたよー!!」 「おおー来たかー!そこのテーブルに座らせてやってくれ!!」 「はーい!では、ちょっと待っててくださいね」 言われるままに待っているとシエスタは焼き立てのパンと湯気のたったスープを持ってきた 「これ、食べてもいいのか?」 「はい、私達の賄い食の余りですがどうぞ」 ロムの質問に微笑みながら答えるシエスタ、この世界に来て初めて人の心の暖かさに触れた気がする 「有難い!では、いただくとする」 そういうと綺麗に食べて行くロム、うん、これこそ究極のパンだと心の中で頷く 「いやーいい食いっぷりだね兄ちゃん!全く俺はあんた見たいな人に飯を作りたいよ!!」 奥から男が現れる 「俺は料理長のマルトーって言うんだ!宜しくな!!」 「俺はロム・ストール、貴方がこの料理を?」 「ああそうだ!」 「感謝する」 ロムが礼を言うとマルトーは笑う 「わっはっは!いいって事よ!同じ平民じゃねえか!」 「平民?じゃあここにいる人達は皆?」 するとシエスタが答える 「はい、皆貴族様にご奉仕する為にここで働いているのです。 でも昨日平民が貴族様の使い魔になったって噂になったから皆心配だったんですよ」 「案の定シエスタがあんたが貴族どもの横で床下に座りながらパンにかじりついていたのを見ていてよ、それを聞いた俺は頭にきていたんだ!」 ロムはそのパンを作った人間が誰かを聞こうとしたがやっぱりやめた 「いや~それにしてもあんた立派な鎧を着ているな!」 「どこかの騎士だったのですか?」 「いや・・・・まあ、そんな感じだ」 異世界から来たなんて信じられないようなので言わないでおく 「それより、食事の礼をしたいのだが」 「そんなのいらんいらん!」 「いや頼む、一応の礼儀は突き通したいのだ」 「じゃあお皿を並べてもらいましょう。もうすぐお食事の時間ですし」 厨房から出ると授業を終えた生徒達が食堂へと入ってきて、その中で長いテーブルの上に黙々と皿を並べていくロム そこへ金髪の少年がバラをくわえながら複数の取り巻きと共に入ってくる 「なあギーシュ、結局君の彼女は一体誰なんだ?」 「ふっ、僕の心の中には特別な女性なんかいないよ。それぞれが僕の花なんだ」 ギーシュがギザっぽく取り巻きの一人の質問に答える するとギーシュのマントから紫色の小瓶が落ちる 皿並べを終えてシエスタと共に厨房に戻る途中のロムがそれに気付き拾う 「君これを落としたぞ」 ロムが声をかけられギーシュが振り向く、 (あ!この男昨日の!昨日はよくも・・・・ん・・・・?) ロムの持つ小瓶に気付くと顔に焦りが表れ始める 「君、それは僕のでは無いよ、勘違いしていないかい?」 「いや、確かに君が落としたものだ」 (ちぃぃぃぃ!平民を本気で殴りたいと思ったのは始めてだ!) 「あっ!その紫色の香水はモンモランシーが特別に調合したものじゃないか!」 「っということは本命はモンモランシーか!」 ギクっ!と焦りが更に顔に表れる そして横を見ると可愛らしい栗毛の女の子が涙を目に溜めてギーシュを見つめていた 「ギーシュ様、やはり貴方はあの人と・・・・」 「ち、違うんだよケティ。僕の心には何時も君が・・・・」 ばちん、と音がしてギーシュが頬を赤く腫らした後「さようなら」っと言って少女が走り去って行く 「まっ待ってケティ話を・・・・」 ギーシュが追おうとすると・・・・ 「待てぃ!!!」 「!!!???」 ギーシュと取り巻き、それにロムとシエスタが声の出場所に向くと強烈な光がありそこに誰かが立っていた 「一つの恋を通さず、平気で別の恋をする不純な気力。 人、それを『浮気』という・・・・」 「誰だ!?」 「貴様に名乗る名前は無い!!」 光が消えるとそこに立っていたのは腕を組んで鬼の様な形相をしたカールが目立つ少女であった・・・・ 「げぇ!モンモランシー!ちっ違うんだよこれは・・・・」 「あんたやっぱり他の女の子と会ったのね!喰らえ!乙女の怒り!彗星脚!!」 「がふう!」 モンモランシーの踵落としが炸裂する、ギーシュは無惨にも床に叩きつけられた そして少女は去っていく 「す、凄かったですね・・・・」 「・・・・・・・・何なんだ一体」 あまりの気迫にロムとシエスタは固まっていた、特にロムは色んな意味で固まっていた・・・・ 「とっとにかく厨房に戻ろう」 「待ちたまえ!」 一声出して立ち上がるギーシュ、凸は真っ赤になっている 「君のおかげで二人の女性の名誉が傷ついてしまった・・・・、どう責任とっつくれるのかい?」 どう考えてもお前が傷ついている 「それは君が浮気をしていたから悪いのだろう」 あっさりしたロムの反論に周りが肯定する 「ふっ・・・・、平民がこの僕に・・・・、よし、決闘だ!」「何・・・・?」 周りが突然ざわつき始める 「お待ち下さい貴族様!貴族同士の決闘は禁止されています!!」 シエスタがなだめるが 「これは貴族の決闘ではない。貴族と平民の決闘だよ。互いの名誉を賭けたね さあどうする?」 「・・・・・・・・」 果たしてロムは決闘を受けるのか!? (それにしてもモンモランシー、いつあんな魔法を覚えたんだ?)